高橋羚のメディアは報じないXで炎上した社会の闇について。

X(Twitter)で反響あった事を色々と書いています。

子育てをする親の努力は無駄になるんですか?9割の人が知らない不都合な真実とどう向き合えばいいのか。

今回のテーマはタブーだ。

書く事すら躊躇った程でこれはメディアでは書けない。だから知名度がない僕が書いた。

「子育て神話」は「親が子を思いその愛情が大きければその子は良い子に育ち、愛情が不足すれば悪い子に育つ」というもので、この意見に世の中の99%の人は特に何も疑わないのではないか。

むしろそれが「当たり前」だとされている。

僕も少なからずそう思っていた一人だ。

しかし、ジュディス・リッチ・ハリスを存在を知ってから考えが一転し、常に考えさせられる事になった。

自分の狭い世界観と少ない知識と固定観念を恨んだ。

このブログに登場するのは「ジュディス・リッチ・ハリス」「橘玲氏」「安藤 寿康」だ。

まずはジュディス・リッチ・ハリスの紹介から始めたい。

ジュディス・リッチ・ハリス(Judith Rich Harris、1938年2月12日 - 2018年12月29日)はアメリカ合衆国の心理学者。1994年に、ハリスは子どもの発達について、家族よりもピアグループ(同年代の友人・仲間たちとの関係)に焦点を当てた新しい理論を提唱した。この理論は、基礎心理学における傑出した著作として1995年にアメリカ心理学会からジョージ・ミラー賞を受賞する論文の基盤となった。親は子の発達にとって最も重要な要因であるという信念を批判し、それらを否定する証拠を提示した『子育ての大誤解』の著者である

引用元 wikipedia

次は橘玲。

橘玲は作家で本名は非公開。

日本から個人でアメリカ株を購入できないことに疑問を感じたことがきっかけとなり、海外投資をするためにオフショア銀行の口座を開設した。このときの体験を『ゴミ投資家のためのビッグバン入門』(1998年)に書き、人気を博したことから、「海外投資を楽しむ会」の友人たちと海外投資の方法を「ゴミ投資家シリーズ」としてマニュアル化していった。 デビュー作となる『マネーロンダリング』は、この頃に知った非合法な脱税法について小説化したもの。正体不明の書き手の方が面白いと編集者に勧められ、ペンネームを国籍や性別が曖昧な「橘玲」とした。1回限りのペンネームのつもりだったが、『マネーロンダリング』が予想外に好評だったため、『ゴミ投資家のための人生設計入門』の改訂版を橘玲名義で『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』として出版し、作家として独立。

引用元 wikipedia

橘氏は作家で「言ってはいけない 残酷すぎる真実」や「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」の著者で、自身もお金に関する本を書きながら、合理的に生きていく為の方法論を解き、世の中の残酷な事実をわかりやすく紹介している。

最後に安藤 寿康。

1997年「遺伝と教育 -人間行動遺伝学的アプローチ」で慶應義塾大学より博士(教育学)の学位を取得。専門は行動遺伝学、教育心理学。特に認知能力とパーソナリティの発達に及ぼす遺伝と環境(主に教育環境)の影響に関して、双生児法による研究を行なっている。

引用元 wikipedia

さて、ここである一冊の本を紹介したい。

「子育ての大誤解」

日本では2000年に出版され、2017年に橘玲氏による新訳が出ている。(写真のがそうだ)

ハリスの最も有名な業績はこの本だろう。

本書はハーバード大学の心理学者の薦めによって書く事になった経緯があるみたいだ。

子供は、本能的に自分に似たもの同士で集団を作ってその集団と自分を同一視し、その集団の中で得意なことを発見し磨きをかけ、性格が形成される。
これがハリスが主張する「集団社会化論」だ。

橘氏はいう。

『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けた本のひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。

いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。13、4歳のガキと30代後半の大人では、経験も知識の量も圧倒的にちがう。どちらが正しいかは一目瞭然なのに、それを理解できないなんてバカなんじゃないのか、と思った。

しかしよく考えてみると、自分も親のいうことをまったくきかなかった。だとすればこれは因果応報なのだとあきらめたのだが、それでも謎は残った。楽に進める道と、ヒドい目にあうことがわかっている道があって、親が懇切丁寧に楽な道を教えてやっているのに、なぜわざわざ失敗する道を選ぼうとするのか。

これはおそらく、世のすべての親にとって切実な疑問だろうが、ジュディス・リッチ・ハリスは、これ以上ないくらい明解なこたえを示す。それは子どもが、親のいうことをきくように「設計」されていないからだ。

長いあいだ万物を創造したのは神だとされてきたが、ダーウィンが現われて神のほんとうの名前を告げた。それは「進化」だ。わたしたちはみな、生命誕生以来の40億年の長い歴史のなかで、より多くの子孫を残すよう設計された生き物の末裔なのだ。

親から子へと、外見だけでなく性格や能力も遺伝することはむかしから誰もが気づいていうじ た。これが「氏が半分、育ちが半分」だが、「育ち」とはいうまでもなく子育てのことだ。

遺伝は変えられないとしても、家庭環境によって子どもの人生によい影響を与えることができる。そう信じたからこそ、親たちはみんな頑張ってきた。

ハリスもまた、一人の実子と一人の養子を懸命に子育てした。そして、わたしと同じ疑問を抱いた。なぜこの子たちは、親のいうことをきかないのだろう。

彼女は、それまで誰も気づかなかった疑問を抱いた。

アメリカのような移民国家では、非英語圏からやってきたばかりの子どもたちはすぐに流暢に英語を話すようになる。

「学校で英語を学ぶのだから当たり前だ」と思うかもしれないが、就学前の子どもの方が言葉の習得はずっと早い。その結果、家の内と外で言語を使い分けたり、親が母語で話しかけても英語でこたえるようになるのがふつうだ。

子育てが子どもの人生に決定的な影響を与えるとしたら、子どもはなぜ、親が満足に話せない言葉を先に覚えるのだろうか。その理由はひとつしかない、とハリスはいう。子どもには、親とのコミュニケーションよりはるかに大切なものがあるのだ。それが「友だち関係」 だ。

このことを本書でハリスは膨大な証拠を挙げて論じていくが、そのロジックはきわめて説得力がある。

「子育て神話」に挑戦するハリスの武器は、行動遺伝学と進化心理学だ。

行動遺伝学は、一卵性双生児と二卵性双生児を比較して遺伝と環境の影響を統計的に計測する方法を確立した。これによって身長・体重から知能、性格、肉体的・精神的疾患に至るまで、それぞれの遺伝率を正確に推計できるようになった。

進化論と心理学を統合した進化心理学は、直立歩行のような身体的な特徴だけでなく、泣いたり笑ったり怒ったりという感情、すなわちこころも進化の産物だということを明らかにした。脳画像の撮影技術が急速に進歩したことでこの仮説は脳科学のレベルで検証され、心理学は自然科学に吸収されていった。

行動遺伝学がもたらした衝撃は、人生のあらゆる側面で遺伝の影響が(一般に思われているよりもずっと強く)現われる、ということだけではなかった。

一卵性双生児は、受精したひとつの卵子が途中でふたつに分かれたのだから、二人はまったく同一の遺伝子を持っている。それに対して二卵性双生児はふたつの卵子が別々に受精し、 遺伝的にはふつうの兄弟姉妹と変わらない。

双生児はこの世に同時に生を受け、通常は同じ家庭環境で育つ。だが一卵性双生児のなかには、一方(もしくは両方)が里子に出されて別々の家庭で育ったケースがある。こうした双子は、遺伝的にはまったく同じで家庭環境だけが異なるのだから、同じ家庭で育った一卵性双生児や二卵性双生児と比較することで、性格や能力の形成における家庭の影響を取り出すことができる。

その結果は、まったく予想外のものだった。まず、いっしょに育てられようが、別々の家庭で育とうが、一卵性双生児は同じようによく似ていた。そればかりか、同じ家庭で育った二卵性双生児よりも、別々の家庭で育った一卵性双生児のほうがずっとよく似ていたのだ。

行動遺伝学者も心理学者も、なぜ性格や能力のほとんどで共有環境(家庭)の影響が見られず、(家庭以外の)非共有環境の影響がはるかに大きいのか、その謎を解くことができなかった。そこに大学の博士課程への進学に失敗したハリスが、アカデミズムの外側から、「子どもは友だち関係のなかで人格を形成していく」という思いがけない仮説を提示したのだ。

引用元 

『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

ハリスが大論争を起こしたのは、家庭の外に注目し、子どもの人格を形成する重要な要因として家庭以外の友達やその周りを挙げたからである。

ハリスは、子供は親よりも学校の友達、その周りの歳が近い仲間を自分と同一視し、周りに適応するように振る舞いを変え、そしてこれが個人の人格形成に影響を与えると主張したから、多くの親からの批判は避けられなかったのだろう。

行動遺伝学に基づく調査結果によれば、優しいとか外交的とか攻撃的といった性格の違いにも家庭での育て方の影響は全く見られない。

引用 安藤寿康「日本人の9割が知らない遺伝の真実」

性格はざっくり50%遺伝で決まり、残りは非共有環境(友達やその周りで家庭以外の場所)で決まる。これは調査で明らかになっている。
もちろん、子の性格は親による影響を多く受ける。ただし教育からではなく遺伝からである。

行動遺伝学では、子どもの性格の特徴のうち50%は遺伝的要因に起因し、50%は環境的要因に起因するということになっている。
考えてみれば当たり前のことだ。身長などの身体的特徴がある程度遺伝するのであれば、知能や性格も遺伝の影響が大きいのはわかる。

これは橘氏は言っていた事だが、これらを認める事は「政治的にタブー」にもなるので中々認められないのである。

しかし人は都合が良い事、悪い事によって、または自分の哲学、美学から「そうであって欲しい」と都合よく選別し何も疑おうとしない。それが確証バイアスである。

遺伝子と子育ての不都合なジレンマ
(子育ては親がどこまで仲介できる?)

むか〜し、むか〜し、ある国に二人の乳児期に離れ離れになった一卵性双生児の姉妹がいました。

2人の遺伝子は全く同じですが、成年になった時に1人はプロのピアニストになり、もう1人は音符すら読めませんでした。… pic.twitter.com/0CuPmV7Ssm

— RM 𝕏 帝国『言ってはいけない多くの人の思い込みを覆す』を発信中。 (@Parsonalsecret) 2023年6月24日

橘氏も著書『言ってはいけない』でもっとも反響があったのは以下だと述べている。

『言ってはいけない』でもっとも反響があったのハリスの集団社会化論を紹介し、「親の努力はほとんど無駄になる」と述べた部分だ。

世間では、子育てを経験したひとも含め、親の育て方が子どもの人生を決めると強く信じられている。そしてこれが、子育て中の親(とりわけ母親)にとって強い心理的負担となっている。子どもが社会や学校に適応できなければ、それはすべて親の責任なのだ。

だが現実には、どれほど頑張ってもなんの成果もないことも多い。なぜなら子どもは、友だち関係を優先して親のいうことをきかないように「進化論的にプログラムされている」のだから。

このように考えると、わたしの不愉快きわまりない本を読んだ多くの父親と母親が「ほっとした」「救われた」との感想を述べた理由がわかる。彼ら/彼女たちは日々の子育ての苦労のなかでその事実に気づいていたが、誰にもいうことができず、周囲からの理不尽な暗黙の批判にずっと耐えてきたのだ。

引用元 

『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

ここで頭に浮かぶのは「じゃあ子育てなんて無理ゲーじゃね?」

確かに努力を継続する能力すら遺伝で決まってしまうのは残酷だ。

しかしハリスは「子育ての大誤解」の後書きにはこう寄せている。

子どもとともに過ごせることを楽しもう。
自分が教えられることを教えてあげればいいのだ。
気を楽にもって、彼らがどう育つかは、あなたの育て方を反映したものではない。
彼らを完璧な人間に育て上げることもできなければ、堕落させることもできない。
それはあなたが決めることではない。

つまり誤解してはいけないのは、子どもに愛情を注ぐことが無意味だとかそんなことを言ってるのではない。
愛情をもって育てられた子どもは、家庭内において快適に過ごせるであろうし、幸せに決まっている。しかし、子供は、社会的な能力を家庭の外で獲得する生き物であり、親のコントロールの限界が存在する事実を知って、親にできる事とできないことがあるということを理解する事だ。と説明している。

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